腰椎脊柱管狭窄症
腰椎脊柱管狭窄症とは

背骨・椎間板・関節・靭帯などに囲まれた脊髄の神経が通る管状のことを脊柱管といいます。頸椎と胸椎、腰椎の神経は脳から続く実質性の脊髄であり、腰椎の神経は馬尾(ばび)と呼ぶ繊維性の神経束や血管が通っています。脊柱管はそれらの神経を守る役割があります。加齢に伴う椎間板の変性による劣化・膨隆・突出、黄色靭帯の肥厚が原因となり、それらにより脊髄や神経根が脊柱管を狭窄し神経の血流が低下し神経障害を起こすことを腰部脊柱管狭窄症といいます。
腰椎脊柱管狭窄症の症状
特徴的な症状として間欠性跛行(かんけつせいはこう)があります。間欠性跛行とは、しばらく歩くと両下肢に疼痛やしびれ、こわばりがあり歩行が困難になります。前かがみで休んだり座ったりする事で症状は改善するが再び歩き出すと症状が出現し、これらを繰り返すことをいいます(身体を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり前に曲げると脊柱管が広がるため)。
馬尾神経症状
両下肢のしびれ・痛み・麻痺・脱力感、冷感、会陰部のしびれ感や灼熱感、排尿障害、男性では疼痛を伴う異常な勃起などの感覚障害。
神経根症状
坐骨神経痛(殿部から両下肢にかけてのしびれ・痛み・麻痺・脱力感)。
混合型
馬尾神経症状、神経根症状の両方の症状がみられる。
腰椎脊柱管狭窄症の好発年齢
50代から80代に多くみられる。(女性より男性の方が比較的多い)
腰椎脊柱管狭窄症の好発部位
第3腰椎と第4腰椎の間、第4腰椎と第5腰椎の間、第5腰椎と仙椎の間の椎間板に多くみられる。
腰椎脊柱管狭窄症の原因
- 先天性の脊髄疾患
- 重労働
- 日常生活の仕方(長時間同じ姿勢)
- 激しいスポーツ(腰に負担のかかるもの)
腰椎脊柱管狭窄症の検査
診察にて、下肢の感覚異常の有無や筋力低下のチェック(神経学的検査)、SLRテスト(下肢伸展挙上試験)FNSテスト(大腿神経伸展試験)を行います。椎間板は軟骨組織なのでレントゲンには写らないため脊髄や神経根機能の異常がある場合、MRI(磁気共鳴映像)検査が有効です。また、下肢の動脈が詰まり血行障害を生じる疾患の際にも同様の症状が起こる場合がある為、原因を正確に調べていく必要があります。
MRI検査腰部脊柱管狭窄症(T2矢状断像)

腰椎脊柱管狭窄症の治療(当院で可能)
治療として、一般的に保存療法と手術療法に分けられます。
保存療法(当院で可能)
急性期の痛み時には、コルセットを装着し安静を保ち消炎鎮痛剤(湿布)を用いて経過をみます。→当院で、行うことができる治療法です。
神経ブロック注射(当院では不可)
改善見られない時には、神経に直接注射することにより痛みを抑えることが出来る神経ブロック注射を行います。→当院では、行うことができない治療法です。
手術法(当院では不可)
手術療法として、保存療法を行っても効果がなく痛みを繰り返したり痛みが増している、運動機能障害の進行により生活の質の低下がみられる場合に行われます。手術の目的としては、現在の症状の進行をくい止める、現在の症状を少しでも軽減させることです。→当院では、行うことができない治療法です。
当院での受診の流れ
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- STEP1 診察
- 症状の程度、随伴症状に基づいて問診を行います。上記をふまえ、必要な検査を判断します。
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- STEP2 検査
- レントゲンやMRI検査を行い骨の形状・骨の間隔のチェックを行います。
※医師の指示にて、当日のMRI検査も可能
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- STEP3 治療
- 診断疾患に応じて治療を行います。手術が必要な場合は、専門の医療機関へ紹介させて頂きます。(現在リハビリは行っておりません)
当院では、整形外科(休診中)を受診して頂きます。必要があれば当日レントゲン、MRI検査を行います。(MRⅠ検査は基本予約制となりますが予約の空き状況や医師の指示により当日の検査も可能です。)
整形外科医より、症状の程度・随伴症状に基づいて診察を行います。
薬物療法としては、診察により痛みやしびれなどの神経症状の程度を診てビタミン剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、血流促進剤、血管拡張剤の処方を行います。
日常生活においては、神経を圧迫するような同じ姿勢・背中を反らせる姿勢・重い荷物を持つなど症状を悪化させる動作は控えましょう。
また、長時間の歩行を控え、症状が出る前に休憩したり杖やシルバーカー、コルセットを上手に利用するのも有効な手段です。
当院には入院施設がない為、これらにより症状の改善が難しくさらに運動麻痺が進行する場合には専門の医療機関に紹介させて頂きます。