腰椎圧迫骨折の治療と検査について
腰椎圧迫骨折の原因
圧迫骨折とは外から骨を押しつぶすような強い力が働いたために起こってしまう骨折です。
脊柱にある椎体の胸椎に起こる圧迫骨折を胸椎圧迫骨折、腰椎に起こる圧迫骨折を腰椎圧迫骨折といいます。
腰椎圧迫骨折は、骨粗鬆症、スポーツ外傷や転落事故、がんの転移部などにより起こることがあります。
腰椎圧迫骨折の原因として高齢者の骨密度の低下による骨粗鬆症が最も多くみられます。
骨の加齢減少ともいえる骨粗鬆症はホルモンバランスが崩れる閉経後の女性に多く、食事・運動・喫煙歴などの生活習慣にも関わりがあります。重度の骨粗鬆症では、尻もちや転倒など大きな衝撃を受けていないにも関わらず日常生活においてくしゃみや重いものを持った時・同一作業を長時間行った時などの比較的軽微な外力でも身体の重みで骨が潰れ、変形し骨折してしまうことがあります。
腰椎圧迫骨折の症状
急性期には、寝返りや前かがみさえも出来ないほどの強い痛みがあります。寝ている姿勢から起き上がろうとする瞬間に鋭い痛みがみられる体動時腰痛が特徴的で一旦、立ち上がれば痛みも少なく歩行も可能です。
圧迫骨折を起こした部位は突起が飛び出したようになり、そこを叩くと痛みが増強します。
胸椎と腰椎の移行部あたりの椎体の前の部分に多くみられます。
また、潰れてしまった椎体が神経根を圧迫するとヘルニアや狭窄症に似た下肢の痛みやしびれの症状を示すことがあります。
その他の症状として、多発性に圧迫骨折が起こると背中が丸くなり(円背)身長が低くなります。
腰椎圧迫骨折の検査
診察にて問診、触診を行い痛みの強い場所や程度を確認します。圧迫骨折の可能性がある場合は、まずレントゲン検査にて確認します。
骨折が初期の段階や骨折の変形が少ないと診断が難しい場合があります。
MRI検査では、腰や下肢の痛み・しびれを伴う場合やレントゲン検査にて圧迫骨折の所見はないが症状が悪化もしくは続く場合など、他に疾患の鑑別を否定するために行います。
また、MRI検査は、腰椎圧迫骨折が陳旧性(古いもの)または急性期(新しい)どちらかの診断に最も有効です。
腰椎圧迫骨折の治療
治療として一般的に保存療法を行います。
保存療法
腰の痛みが強い場合は、日常生活での安静を基本とし、痛みなどの炎症を抑えるために湿布や内服薬にて経過をみます。また、専用の硬めのコルセットを作成し装着することにより、動きをおさえ痛みの軽減を図り骨の変形を防ぎます。コルセットを着用し、1~2週間安静にしているだけで痛みは徐々に軽減されていきます。
しかし、椎体(骨折した部分)は潰れた状態で骨癒合を待ちますので基本的に潰れた椎体が元の形に戻ることはありません。
骨の代謝改善目的にて骨粗鬆症の治療を行います。内服薬や静脈注射を行うとともに、定期的に骨密度の検査を行い、薬の効果を確認します。
圧迫骨折の原因が腫瘍性のものである場合
圧迫骨折の原因が腫瘍性のものである場合は専門の医療機関での治療が必要になります。
腰椎圧迫骨折にお困りの方は、かかりつけの先生にご相談ください。