鉄欠乏性貧血について
鉄欠乏性貧血とは
血液は、白血球・赤血球・血小板・血漿で成り立っています。
鉄欠乏性貧血とは、体内で赤血球の中に含まれるヘモグロビンの合成に不可欠な鉄が欠乏しヘモグロビンと鉄分が不足する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されなくなることによって生ずる貧血です。貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患です。
- 主な原因
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- 月経過多(子宮筋腫や子宮内膜症など)
- 鉄分の不足(偏った食事や無理なダイエット)
- 鉄の需要量の増大(成長期や妊娠、出産、授乳期などの際に鉄の需要の増大)
- 鉄の吸収不良(胃や十二指腸切除後などで正常に働かず鉄が吸収されない)
- 造血機能の低下(がんや肝臓病などで造血作用が妨げられる)
- 激しい運動(筋肉内での鉄の需要、大量の汗とともに鉄が失われる)
- 慢性的な出血(潰瘍や腫瘍による消化管出血、痔からの出血、胃がん、大腸がんなど)
慢性的な出血が起こっている原因の中で鉄欠乏性貧血と診断されて胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸憩室症などは痛みを生じるため多くの場合初期のうちに病気がみつかりますが、最も危険なのは胃がんや大腸がんなどの悪性腫瘍です。
などにより、体内に貯蔵してあるはずの鉄が失われ不足してしまい鉄欠乏状態になります。
女性に鉄不足が多いのは
女性は月経があり閉経するまで定期的に出血が起きます。また妊娠や授乳により母体の鉄が失われます。需要が増えると相対的に摂取不足が起こり、体内の鉄バランスが傾き潜在的な鉄欠乏状態になります。
鉄欠乏性貧血の症状
- 全身倦怠感
- 耳鳴り
- めまい
- 息切れ
- 口角が切れやすくなる
- 肌の乾燥
- イライラ感
- 肩こり
- 動悸
- 頻脈
- 頭痛
- 疲労感
- 立ち眩み
- 抜け毛、枝毛が増える
などがあります。
鉄の欠乏が進むと脳や筋肉、心臓が酸素不足になり主に上記の症状がみられます。加えて、爪がスプーン状にそり返ったり、薄く割れやすくなったり、口角炎、舌炎、嚥下障害などがみられることもあります。貧血は徐々に進むことが多いため、ヘモグロビンが6~7g/dlくらいまでに減少していても、慢性的になってしまい身体が順応して明らかな貧血症状がみられない又は気付かないこともあります。貧血の種類
- 溶血性貧血…骨髄でつくられる赤血球が肝臓や脾臓で破壊されてしまい骨髄が不足した赤血球を補っていれば問題ないが、破壊される速度が速くなり赤血球の不足を補いきれなくなってしまう状態。
- 再生不良貧血…骨髄で赤血球をつくる機能が十分に働かなくなって起こる貧血。赤血球だけでなく白血球や血小板も減少する。
- 巨赤芽球性貧血…ビタミンB12や葉酸の不足で細胞分裂がうまくいかず、赤血球になる前の赤芽球と呼ばれる細胞が巨大化した巨赤芽球が現れた状態。ビタミンB12の不足で神経系の異常が現れる場合がある。
鉄欠乏性貧血の対策・治療・改善
治療としては、貧血の原因となっている疾患の治療を行いながら並行して食事療法・薬物療法を行います。
食事療法としては、偏食を避けバランスの取れた食事を摂るようにし鉄分を多量に含む食品の摂取が大切です。レバーや赤みの肉類、魚、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類などを摂取すると良いでしょう。
薬物療法としては、貧血がひどい場合や食事療法で改善が難しい場合に経口鉄剤が処方されます。鉄剤の服用にあたっては、空腹時が吸収の点では優れていますが鉄剤には胃腸障害(吐気・嘔吐・下痢・便秘・心窩部痛)という副作用が伴いやすいので、それを避けるために食事直後または食事中の服用をすすめます。また、便が黒くなることがありますがそれは薬の副作用のため経過観察となります。
→当院で、行うことができる治療法です
鉄欠性貧血は一般的には鉄分の補給により回復する予後良好な疾患ですが、症状によっては日常生活に支障をきたす場合があります。貧血の原因を精査し治療することが最も大切となります。
貧血の他に気になる症状や原因がある場合には早期に適切な治療を受けるようにしましょう。
当院受診の流れ
当院では、内科を受診して頂きます。内科医より、症状の程度・随伴症状に基づいて診察を行います。
その上で内科医の指示の下、血液検査を行っていきます。当院では、食事療法についての指導、薬物療法により鉄剤の内服を行います。また、数値が安定しない場合や専門医の診断が必要な場合、更なる治療が必要な場合は専門の医療機関に紹介させていただきます。