動脈硬化の原因、治療、検査について|健診会メディカルコラム

動脈硬化について

動脈硬化の原因

心臓から身体のすみずみまで酸素や栄養素を含む血液を運ぶ重要な役割を果たしているのが動脈という血管です。動脈の血管が加齢や長年の生活習慣、様々な因子により硬く厚くなって弾力が失われた状態、すなわち本来の構造が壊れ機能低下すると働きがわるくなる病変を動脈硬化といいます。
血管が狭くなり内壁にコレステロールが溜まると血液の流れが悪くなり動脈硬化が進行し全身の機能に支障をきたし様々な弊害が起こります。

動脈硬化になりやすい人

  • 喫煙されている方
  • 脂質異常症・高血圧・糖尿病・高尿酸血症(痛風)などの生活習慣病疾患の方
  • 肥満傾向で内臓脂肪の多い方(メタボリック症候群)
  • ストレスの多い方
  • 運動不足の方
  • アルコールを過剰摂取される方
  • 偏った栄養バランスの食事、間食・過食傾向の方
  • 40歳以上の方(加齢)
  • 狭心症や心筋梗塞、脳卒中の既往が家族の中にいる方
  • 睡眠時無呼吸症候群の方

動脈硬化の原因

動脈硬化は、小児期から徐々に進行し年齢を重ねるうちに進行していく誰にでも起こりうる疾患です。さらに、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの様々な疾患や要因が複合的に加わると動脈硬化は無症状で進行していき脳卒中や心筋梗塞、狭心症などのリスクが高まります。 一度進行してしまった動脈硬化は完全に治ることは難しいです。 しかし、動脈硬化を進行させる危険因子を理解していくことで予防や進行を抑えることができます。

動脈硬化の起こり方は3つのタイプに分けることができます。

粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)

大動脈、脳動脈、冠動脈など比較的太い動脈に起こる硬化です。LDLコレステロールなどの脂肪からなる粥腫が動脈の内側の膜に蓄積し、隆起している状態が動脈硬化です。大きくなると表面の膜が薄く破れることとがあり、これによって血栓が作られ繰り返すと動脈硬化が進み、血管が狭くなって血流が滞ったり閉塞したりします。
※粥腫とは(プラークと呼ばれコレステロールを大量に含んだ脂質の塊。)

 

中膜硬化(メンケルベルグ型硬化)

血管の構造は、内膜・中膜・外膜の3つの層で構成されています。中膜硬化とは、この中膜にカルシウム物質がしみこんで沈着(たまる状態)し起こる動脈硬化です。カルシウムが沈着すると石灰化して硬くもろくなるので血管壁が破れてしまうことがあります。大動脈・下肢・頚部の動脈に起こりやすい動脈硬化です。

細動脈硬化

脳や腎臓の中の細い動脈が硬化して血液が滞る動脈硬化です。細動脈の壁が厚くなり内腔が狭くなると十分な血液が送られなくなります。進行すると血管が破裂してしまい脳出血に至ることもあります。高血圧や糖尿病などの生活習慣病疾患の状態が長く続くことによって引き起こされます。

動脈硬化について

動脈硬化の症状

動脈硬化は、初期症状がほとんどなく自覚症状がないため、定期的な健康診断・血液検査等で発見されることが多くみられます。動脈硬化は脳血管、頚動脈、冠動脈、大動脈、腎動脈、下肢動脈などに多くみられ起こっている部位によって症状や経過が変わってきます。
自覚症状がみられるようになった時は、動脈硬化の進行が起きている可能性があり血管が狭くなり血栓や潰瘍がつくられると破れたり閉塞していきます。
これが原因となり脳卒中(脳梗塞・脳血栓)・腎不全・心筋梗塞・狭心症・大動脈瘤・閉塞動脈硬化症などが起こります。


主な症状

頭痛・めまい・耳鳴り・手足に力が入らない・しゃべりにくい

心臓

階段の昇り降りで動悸がする・疲れやすい

安静にしていても痛む、しびれる・足が冷える・足をひきずる

動脈硬化の検査

血圧測定

拡張期血圧・収縮期血圧を測定し高血圧の有無を調べることができます。

血液検査

生活習慣病(脂質異常症・高脂血症・糖尿病・高尿酸血症等)の有無の確認ができます。

PWV検査

血液の流れる速度(脈波)を測定し、動脈硬化の程度を測定することができます。 検査時間は5分程度です。

MRI検査

脳血管・頚動脈・冠動脈・大動脈・腎動脈・下肢動脈の動脈硬化を調べることができます。

※ 造影剤使用しての検査は当院では行うことができません。
超音波検査:頚動脈・大動脈などの動脈硬化を調べることができます。
※ 超音波の検査は当院では行うことができません。

動脈硬化の治療

食事や運動などの生活習慣の改善や生活習慣病の積極的治療で危険因子を除去することが動脈硬化の治療・予防に非常に重要です。

食事療法

動脈硬化の発症・進行を早めるコレステロールを多く含む食品、肉・卵・バターなどや動物性脂肪の多い揚げ物の摂りすぎなど、暴飲暴食には注意しましょう。
また塩分の摂りすぎは高血圧、糖分は糖尿病の原因となるため注意が必要です。
血中のコレステロールを下げる働きがある食物繊維が含まれる食品や抗酸化作用のあるビタミンC・Eが含まれる野菜や果物は適度に摂るようにしましょう。
アルコールは適量とし血圧や中性脂肪の高い方は控えるようにしましょう。
水分補給は血液をサラサラにし、血栓を予防する効果があり脱水を防ぐためにも適度に水分を補給しましょう。

運動療法

ラジオ体操や散歩、水泳(水中歩行)・ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を15分~30分程度、定期的に行うようにしましょう。
運動療法というと‘難しいな‘‘面倒くさいな‘と考えがちですが、それぞれのライフ・スタイルにあった楽しく長く続けられる運動を日常生活でも取り入れ身体を動かすようこころがけるようにしましょう。
現在治療中の方は、主治医と相談し無理をしないように行いましょう。
中性脂肪が減り善玉コレステロールが増えると動脈硬化に対する予防、あるいは治療に効果があります。
足腰の弱い方は、椅子に座って行えるストレッチなどを行うようにしましょう。
適度な運動は、筋肉を増やして基礎代謝を上げることで、糖や脂肪の代謝を良くする効果も期待できます。

薬物療法

高血圧、糖尿病、脂質異常症等の生活習慣病の方は投薬治療が非常に重要です。
これらの疾患を改善させることが動脈硬化の進行をおさえるためにも大切ですので、しっかり治療を行うようにしましょう

※ 当院で、行うことができる治療法です。

上記以外にも動脈硬化を促進させる肥満の方は適性体重に努め、たばこに含まれるニコチンは血管に悪影響を及ぼすため喫煙されている方は禁煙をしましょう。また、適度に休息をとるようにしストレスを発散できる環境作りに努めるようにしましょう。
薬物療法のみに頼り日々の生活習慣が悪ければ動脈硬化は進行していきます。
自分の病気や生活習慣を一度見直していき動脈硬化による合併症を防いでいきましょう。
*当院で禁煙外来は行っておりません。

当院での受診の流れ

当院では内科に受診して頂きます。既往歴・随伴症状に基づいて診察を行います。医師の指示で、血液検査、MRI検査やPWV検査(脈波検査)を行っていき動脈硬化の進行状況や関連する疾患の確認をさせていただきます。治療は、動脈硬化の原因となる生活習慣病の改善に対して食事療法・運動療法・薬物療法を行います。
また、動脈硬化による各疾患に対して専門医の診断や治療が必要な場合は専門の医療機関に紹介させていただきます。

上記のような症状が出たらかかりつけの先生にご相談下さい。
当院では、内科にご相談下さい。

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