感染性胃腸炎について
ストレスやアレルギー、服用した薬などからくる胃腸炎とは違い感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどの病原体が胃腸内に入り込み胃腸の働きを悪化させ下痢や嘔吐、発熱など突然引き起こす症状をいいます。
感染性胃腸炎の原因とは
夏は高温多湿を好む細菌が繁殖しやすいため、生モノまたは加熱不十分な肉、卵、魚介類などの食べ物や水から感染します。
多くは冬に流行するウイルス性の病原体の感染が原因で、二枚貝(カキ、ホタテ)などの生食、感染した調理人を媒介した食品の二次感染、病原体が付着した手で口に触れることによる感染(接触感染)、汚染された食品を食べることによる感染(経口感染)があります。
症状/期間
病原体によって症状は異なりますが、主な病原体のウイルス症状は下記になります。
共通している症状は主に嘔吐、下痢です。その中でも下痢症状は1週間くらい長引くことが多くみられます。また家庭や施設等で発生すると、感染力が強いため集団発生を引き起こすことがあります。
潜伏期間 | 流行期 | 嘔吐 | 下痢 | 発熱 | 腹痛 | |
ノロウイルス | 24時間~48時間 | 秋~冬 | ○ | ○ | △ | ○ |
ノロウイルスによる胃腸炎では激しい吐き気、嘔吐、下痢で始まることが多く風邪症状に似ています。症状は2日程度で治まりますが抵抗力の弱い高齢者や乳幼児などは重症化する場合があるので注意が必要です。
ノロウイルスを詳しく知りたい方はこちら
https://www.takinogawa-medical.jp/column/norovirus.html
潜伏期間 | 流行期 | 嘔吐 | 下痢 | 発熱 | 腹痛 | |
ロタウイルス | 24時間~72時間 | 冬~春 | ○ | ○ | ○ |
ロタウイルスによる胃腸炎は主に乳幼児がかかりやすい感染症で、白っぽい水様便が一日に何度も出ます。他には39度以上の発熱や腹痛、鼻水や咳などの症状があり重症化すると血圧低下や脳症、意識障害、痙攣などのショック症状を起こす可能性があります。
ロタウイルスを詳しく知りたい方はこちら
https://www.takinogawa-medical.jp/column/rotavirus.html
潜伏期間 | 流行期 | 嘔吐 | 下痢 | 発熱 | 腹痛 | |
アデノウイルス | 1週間程度 | 問わない | ○ | ○ | △ |
アデノウイルスによる胃腸炎では下痢や腹痛が目立ちます。高熱を出す方は少なく下痢だけの症状が1週間適度続きます。
感染ルート例
- 感染した人の糞便や嘔吐物からの二次感染、それが乾燥したものから出る塵、埃を介しての経口感染
- 感染した人との会話や咳、くしゃみによる飛沫感染
- 感染した人と遊んだり触れあったりしたことによる直接接触感染
- 病原体が媒体物(感染した方が触ったドアノブやタオル、コップ)を介して伝染する間接接触感染
検査
周りに胃腸炎に感染した方がいないか症状を確認し診断します。ウイルス性胃腸炎では簡易検査で便を調べます。細菌性胃腸炎では便培養検査で調べます。
治療
感染性胃腸炎に効果のある抗ウイルス薬はなく、症状に応じた対処療法や投薬をおこなっていきます。
下痢や嘔吐など体内から失われた水分を点滴(輸液)などで補給し脱水症状を改善することが主になります。嘔吐がおさまってきたら水分(経口補水液など)を摂取し、消化しやすい食事を摂るようにしましょう。
日常生活でうつらないための予防
- 外出時にはマスクを着用し、トイレの後や帰宅後は手洗い・うがいを行うようにしましょう。
- 調理前後、食事の前には石けんを使って流水で丁寧に手を洗いましょう。
- 原因菌やウイルスは熱に弱いため食品を十分に加熱処理しましょう。
- 貝類(二枚貝)などは生食をできるだけ避け加熱をしっかりするようにしましょう。(中心温度が85~90℃で1分以上)
- 調理器具からの二次感染を防止するために、生食用と加熱調理用とを区別し、使用後はそのままにせず洗浄や消毒を行い清潔に保ちましょう。
- 感染している人の糞便や嘔吐物を処理する際には必ず使い捨てのエプロン、マスク、手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように静かにふき取り衛生的に処理しましょう。
- ノロウイルスが原因菌の場合は嘔吐物や便にノロウイルスが大量に含まれている可能性があるため、感染が広がらないよう素早く処理し塩素系の消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)で消毒するようにしましょう。
- 免疫力が弱まっていると感染しやすいため、規則正しい生活を心がけ疲れを溜めないよう十分な休息をとるようにしましょう。
上記のような症状が出たらかかりつけの先生にご相談下さい。
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