人間ドックの肝機能・胆道系検査のご説明。健診会メディカルコラム

肝機能・胆道系検査

肝機能・胆道系検査

AST(GOT)/ALT(GPT)

AST(GOT)は肝細胞と腎臓や心筋、骨格筋に多く含まれる酵素で、ALT(GPT)は肝臓のみに多く含まれる酵素です。どちらも蛋白質を分解してアミノ酸をつくり身体の代謝がスムーズに行われるための重要な役割を担っています。肝臓に障害があると血液中に漏れ出てくるため、値が上昇します。

*AST(GOT)/ALT(GPT)の判定基準値*

基準値 AST(GOT):30以下
ALT(GPT):30以下

  異常なし 要経過観察 要治療
AST(GOT) 30以下 31~50 51以上
ALT(GPT) 30以下 31~50 51以上

(単位 U/L)

この検査で疑われる病気

ALT・ASTともに高値:急性肝炎・慢性肝炎・非アルコール性脂肪肝・アルコール性肝障害・肝臓がんなど
ALTよりASTが高値:アルコール性肝炎・肝硬変など
ASTよりALTが高値:急性肝炎・慢性肝炎・脂肪肝など
ASTのみ高値:心筋梗塞・多発性筋炎・溶血性貧血など

γ‐GTP

肝臓の解毒作用に関係する酵素で、肝臓や胆道の異常があると血液中の数値が上昇します。
とくに他の肝機能検査で異常がなくγ‐GTPのみが上昇している場合は、過度の飲酒によるアルコール性肝障害で値が上昇します。また、薬剤を長期に服用している場合にも高値になる場合があります。
男女比では、女性は男性より低値を示す傾向があります。

*γ‐GTPの判定基準値*

基準値 50以下
(単位 U/L)

異常なし 要経過観察 要治療
50以下 51~100 101以上
(単位 U/L)

この検査で疑われる病気

高値:アルコール性肝障害・閉塞性黄疸・胆石症・急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・肝臓がん・急性膵炎
薬剤性肝障害
検査結果にて異常値が続くようでしたら、アルコール摂取量を減らし休肝日を作るなど日常生活を見直すとともに一度内科医を受診してください。

ALP

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓・胆道・骨・腸・腎臓など様々な臓器に含まれている酵素です。通常は、胆汁とともに排泄されますがこれらの臓器に障害が発生すると血液中に流れ出します。
検査の数時間前に脂肪の多い食事を摂取すると、検査値が高くなる場合もあります。

*ALPの判定基準値*

基準値 100~325
(単位 U/L)

この検査で疑われる病気

高値:閉塞性黄疸・胆管炎・甲状腺機能亢進症・骨腫瘍・脂肪肝・薬物性肝障害

アルブミン

血液蛋白のうちで最も多く含まれるのがアルブミンです。全身の栄養状態の指標となるほか、肝臓で産生される蛋白質であるため、腎機能障害・肝機能障害の程度を反映する値になります。

*アルブミンの判定基準値*

基準値 3.9以上
(単位 g/dl)

この検査で疑われる病気

低値:肝硬変・低栄養・ネフローゼ症候群・腎臓病・肝臓病

総ビリルビン

ビリルビンは寿命を終えた赤血球中のヘモグロビンが変化してできる黄色い色素で通常は、胆汁の成分として肝臓から十二指腸に送られた後、便とともに排泄されます。肝機能や胆道系疾患があると排泄ができず血液中に流れ込み黄疸として現れます。
間接ビリルビンと直接ビリルビンがあり、合わせて総ビリルビンと呼びます。

*総ビリルビンの判定基準値*

基準値 0.2~1.2
(単位 mg/dl)

この検査で疑われる病気

高値:急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・肝臓がん・胆石症・胆のう炎・胆のうがん・膵がん・黄疸

TP(総蛋白)

血清中の蛋白質であるアルブミンとグロブリンの総量です。蛋白質の合成に関わる肝臓疾患や排出に関わる腎臓疾患で値が大きく変動します。

*TP(総蛋白)の判定基準値*

基準値 6.5~7.9
(g/dl)
異常なし 要経過観察 要治療
6.5~7.9 6.2~6.4 6.1以下
8.0~8.3 8.4以上
(単位 g/dl)

この検査で疑われる病気

高値:多発性骨髄腫・慢性肝炎・肝硬変・膠原病・脱水
低値:栄養障害・肝機能障害・肝硬変・ネフローゼ症候群

コリンエステラーゼ

肝臓で作られる酵素のひとつで、肝機能が低下すると値が低下します。また、脂質代謝にも関わっているため、栄養過多で起こる脂肪肝や脂質異常症では値が上昇します。
その他の肝機能が正常でコリンエステラーゼのみの変化の場合は栄養過多や脂肪肝、低栄養が考えられます。

*コリンエステラーゼの判定基準値*

基準値 男性:234~493
女性:200~452
(単位 U/L)

この検査で疑われる病気

高値:脂肪肝・糖尿病・ネフローゼ症候群・メタボリックシンドローム
低値:肝硬変・慢性肝炎・低栄養

LDH

体内でブドウ糖がエネルギーに変わるときに働く酵素です。肝臓にもっとも多く含まれますが、筋肉や肺、血液などにも含まれるため、何らかの原因で細胞がダメージを受けると様々な疾患で値が上昇します。

*LDHの判定基準値*

基準値 120~240
(単位 U/L)

この検査で疑われる病気

高値:急性肝炎・慢性肝炎・白血病・心筋梗塞・悪性貧血など

LAP

肝臓に含まれる酵素で、胆道から排泄されるため肝臓や胆道に通過障害があると値が上昇します。
LAPのみの変化では異常がないことが多く、ビリルビンやその他の肝機能検査と合わせて判断します。

*LAPの判定基準値*

基準値 男性:45~81
女性:37~61
(単位 U/L)

この検査で疑われる病気

高値:胆道閉塞・胆石・肝がんなど

この検査で異常値が疑われた場合

検査を受けた状態にもよりますが経過観察でよいのかまたは再検査が必要なのかを判断するために一度内科を受診してください。生活指導や内服薬について診察させて頂きその結果、必要によって専門病院をご紹介させていただく場合があります。

当院外来の流れ

当院では、内科を受診して頂きます。内科医より、現在の症状の程度・随伴症状に基づいて診察を行います。
その上で、内科医の指示にて疑われる疾患に対しての血液検査、CT/MRI検査や系列の医療機関での超音波検査などの精密検査を行っていきます。
その結果、数値が安定せずに専門医の診断が必要な場合、更なる治療が必要な場合など当院で治療や経過観察を行うことが出来ない場合は専門の医療機関に紹介させていただきます。

診療科紹介

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